(6)オロナミンC誕生物語<前編>
時代が求めた栄養ドリンク
「元気ハツラツ!」大村崑氏を起用した広告を知らない人はいないだろう。
「おいしいと眼鏡が落ちるんですよ」「僕はストレートで」「ママは卵の黄身でオロナミン・セーキ」など、一世を風靡するコピーで子どもから大人まで多くの心をつかみ、時代を超えて愛され続けてきたオロナミンC。1965年の発売以来ロングセラーとして飲料市場に定着し、大塚製薬の看板商品といっても過言ではない存在だ。その誕生は今から40年以上も前にさかのぼる。
おりしも時代は戦後の高度成長期。豊かな生活を夢見て、誰もががむしゃらに働いていた時代だった。食べることで精一杯だった時代は終わり、国民の間にはじょじょに健康に関する意識の高まりが見えるようになる。ふだんの食事にプラス、手軽に栄養補給できるアンプル(医薬品の栄養ドリンク)を飲むことがブームになる。
そこで満を持したように登場したのが、オロナミンC。「いつでも、どこでも、誰にでも飲めるおいしい炭酸栄養ドリンク」は、時代が求めた栄養ドリンクと言えるだろう。
驚き!40年たっても古くないコンセプト
「オロナミンC」という独特の商品名は気になるところ。これは当時、大塚製薬の看板商品だった「オロナイン軟膏」に由来するという。同時に、ビタミンCがレモン11個分も含まれているという事実も表現しているとか。美肌や健康を考える人にとって必須の栄養素、ビタミンC。栄養学の発達した今でこそ、その重要性は誰もが知っているところだが、1960年代のドリンクに大量に含有されていたのは驚きだ。
ほかにもビタミン B2、B6とビタミン類が豊富な上に、最近注目度が高まっているアミノ酸も含み、着色料は不使用。オロナミンCを透明のグラスに注いだことのある人なら分かるが、オロナミンCは黄色い液体だ。それは決して着色料の色ではなく、ビタミンB2の色なのだという。しかもカロリーは1瓶あたり「79kcal」。もしも今発売されたとしても決して古くない、現代の健康意識を先取りするような商品コンセプトと言えるだろう。
炭酸ガスが入っているため医療用ドリンクとしての許可は降りなかったが、栄養豊富であることに間違いはない。味も良くさわやかな喉越しは、世代や性別を超えて多くの人をひきつけたのだった。