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Vivooはこうして誕生した
〜ビボセンス社CEOのMIRAY TAYFUNさんに聞く〜

世界100ヵ国以上で利用されている栄養モニタリングサービス「Vivoo」。日本では、大塚製薬が開発会社のビボセンス社と日本版「Vivoo」を共同開発し、2024年9月からサービスを開始しています。いつでも、どこでも尿で日々の栄養状態などをモニタリングできる「Vivoo」によって、健康管理がより身近に、手軽にできるようになりました。この「Vivoo」がどのようなきっかけや思いから誕生したのか、ビボセンス社のCEOであるMIRAY TAYFUN(ミライ・タイフン)さんにお話を伺いました。

開発のきっかけ
尿検査との再びの縁

私はもともとバイオエンジニアです。今から13〜14年前、病院の研究室にインターンシップとして勤めていました。仕事内容は、毎日、検体の尿を光学式読取装置にかけて検査するというものでしたが、当時の私は尿検査に少し抵抗感があって、希望を出して別の部署に異動したのです。

何年かして、感染症の診断のために牛の乳の検査を行う仕事を始めました。そこで、Vivooでも活用しているバイオセンサーと出会ったのです。

ちょうどその頃、アメリカではダイエット管理等の目的で尿中のケトン体を自宅で調べる人が増えていました。そこで、私もこうした検査に興味を持ち、これを事業にできないかと考え、2017年にビボセンス社を立ち上げました。そして2018年、再び尿検査と付き合うことになったのです。

ただその頃、7〜8年前から大きく変わっていたことがありました。スマートフォンの進化です。とても高性能なカメラを備えた様々な機種が登場していていました。そこで私たちは、尿検査とスマートフォンのカメラを連動させて、病院の光学式読取装置や目視による検査とは違った分析方法を導入しようと考えました。

最初の試作品は、尿検査の検査試験紙を写真に撮って送ってもらい、私たちがそれを見てメールを送り返すという、今から考えればとてもアナログ的でしたが、そこで投資家たちに示したかったのは、バイオセンサーとスマートフォンをつなぐという将来のあり方の提案でした。つまり、何を食べたらいいのか、どんな運動をすればいいのか、どんな睡眠がいいのかといった、日々の生活をより良くするためのライフプランを立てることをお手伝いするというものです。Vivoo はこうしてスタートしました。

開発に向けての理念
「誰もが手軽に」が開発理念

私たちのビボセンス社が掲げる理念は「to make health monitoring accesible personal and integral to everybody life(健康モニタリングを誰もが利用しやすく、生活に欠かせないものに)」です。この accesible(誰にも利用しやすい)には、いくつかの意味がありますが、その一つは「お手頃である」ということです。

私はスポーツをしていますし、個人的に自分のカラダの中がどういう状態か非常に興味があったので、お金をかけてもいろいろなバイオセンサーを購入して調べました。そうした自分のカラダのことをもっと知りたいという好奇心はどなたでも持っていると思います。

しかし、ウエアラブルなバイオセンサーが市場に出回り始めた頃は非常に高価で、1,000ドル(約14万円)ほどしました。最近は 50〜100ドル(約7,000円〜14,000 円)と安くなりましたが、それでもまだ高価だと感じます。

そこで、価格は本当に重要だと思いました。例えば、1回のモニタリングに2,000円も3,000円もするようでは消費者が日常的に使うのは難しいので、コーヒー1杯ほどの価格で利用できるよう開発段階から努力したのです。

最終的には、日常的に皆さんの生活の中に組み込まれることが大切だと考えています。例えば、カラダに不可欠なビタミンCを意識してオレンジジュースを飲んだり、果物を食べたりするようにです。

そのためにも、もう一つの accesible、つまり「使い方が簡単」ということも非常に大事です。例えば、採尿カップを使わなくてもテストができることも、その一つです。尿をカップに入れること自体が、手軽な感じがしません。女性は妊娠検査薬などで慣れているので、カップは不要だと思いましたが、男性はそういう経験があまりないので,逆にその体験を楽しんでいるようです。ストリップ(試験紙)も尿をかけやすい形状であるとか厚みなどで独自に工夫をしています。

ともかく家で検査ができて、結果もわかり、その場で対策のアドバイスが得られるこのモニタリングには大きな可能性があり、その開発に関わっていることを幸せに思っています。

Vivooのアイデア
カラダの声に耳を傾けて

Vivooという名前は、“生体内にある”を意味する「in-vivo」に由来しています。某大手IT企業名もそうですが、成功している企業は“o”を2つ重ねていることが多く、幸運を呼び寄せるラッキーチャームだということから「Vivoo」としました。

私たちは「Listening to your bodys voice」と謳っていますが、自分のカラダに耳を傾けることは簡単ではありません。それでも、自分のカラダにマイクを向けて、しっかり聞くことが大事なのです。

実際、バイオマーカーというのは約4,000あり、測定可能なものだけでも1,000ぐらいはあります。

Vivooも様々なフィードバックを反映して改善を重ね、当初は測定出来なかった、骨の健康にかかわるミネラルやビタミンC、食塩摂取量の測定を実現しました。

開発プロセス
AIなくしてVivooの誕生はなかった

ところでVivooは、AIなしでは誕生しませんでした。正確に言えば、機械学習やディープラーニングによって成し得た製品です。

私たちの使用用途が特化されたものだったので、機械学習を導入したのは遅めの2019年の後半でした。まず、スマートフォンで撮影したものを画像処理するということで、肉眼では対応しきれない微妙な色の判定も可能な画像処理のソフトウエアが必要でした。そして、テストだけのために500枚以上は撮影した画像をコンピュータに読み込ませ、機械学習とビッグデータ分析を利用してデータベースを構築したのです。現在、Vivooでは500万枚以上の画像と高性能なアルゴリズムを備えています。

さらに発売してからも、さまざまな光のもとで撮影をするなど、極端な条件下での実験や、ユーザーからのフィードバックによって成長しており、現在では10万人以上のデータ(※1)と、さまざまなスマートフォンのカメラの情報をシステムに供給しています。それによって、今の予測(※2)の正確性は99%以上。機械学習がなければ、この実現はほとんどあり得なかったでしょう。暗い場所という特定の環境と特定の光源が必要になったはずです。

ただ一方で、機械学習を機能させるためには、大量のデータのほかに正しいデータ設定が必要ですが、そのデータを準備するのは高度に訓練された「人」、バイオエンジニアや生物学者です。私たちのチームは、次々と新しい製品を生み出していかなければならず、製品化までには数ヶ月、システムを構築するには何年もかかります。研究開発を主体とする私たちには、人が何より大事なのです。

※1 米国版Vivoo利用ユーザーのデータ ※2 予測…送られてきた画像を正確に読み取り、正確に検出すること。

デザイン
ストリップのデザインは大都会から着想

Vivooのストリップについては、技術的に必要で全体を黒くしています。長いのは持ちやすくするためですが、形状や素材もいろいろ試しました。これからも改善し続けるので変化していくことでしょう。

ストリップは湿度の影響を受けると、測定結果が変わってしまうので、パッケージは外気の影響を受けないよう設計されています。

ストリップのステンドグラスのようなデザインは、「日々忙しく働いている人たちにも活用してもらいたい」と、デザイナーである妹のSenayがニューヨークのような大都市の建物から着想を得たものです。

外箱のパッケージは、これまでのヘルスケアカンパニーとは一線を画して、青や白といった冷たい色ではなく明るい色にしました。食べ物や栄養、睡眠、そしてマインドフルネスをイメージさせるものです。

Miray自ら、700回のテスト

私自身も、Vivooをほぼ毎日使っています。以前には700回以上、テストしました。1日2回測定してみたり、時には少し日を空けてからやってみたり。だけど、自分の商品から少し距離をおくことも大事だと思い、時には客観的にフレッシュな目で商品を見るようにしています。

家族では、母がよく使っているようです。いつも家族のための食事作りをしているので、栄養といったことへの理解が深いのです。彼女は、今57歳ですが、女性の場合、閉経した後の健康状態も良好に保つことがとても大切なので、Vivooを活用することでより良い生活を送ってもらいたいと思っています。

価値あるあなたのデータをトイレに流さないで

私たちがVivooの開発のために集めた大量のデータは、今後また新たな製品開発に役立つと思っています。アメリカだけでなく日本でも、健康体であることはヘルスコストを低減するもので非常に大事であり、こうしたモニタリングサービスの需要はますます高まるものと考えています。

私たちビボセンス社はまだ若い企業ですので、大塚製薬とのコラボレーションにより、新たな製品開発も可能かと考えています。

Vivooの利用において大切なのは、結果に一喜一憂することではありません。時には水分補給が足りなかったり、フライドチキンを食べたりすることもあると思います。重要なのはバランスです。やがて利用者の方々が結果をよく理解し始め、改善したいと思うようになれば、必要な食べ物のことやサプリを探すでしょう。やがて栄養のことだけでなく、マインドフルネスや日光浴と、健康作りに大きな影響を与えるはずです。

「Don’t flash valuable data down on the toilet!」私たちビボセンス社が公式サイトの中で掲げているフレーズです。尿は自分のカラダについて多くのことを語っています。そんな価値あるデータをそのままトイレに流さないでください!私たちはこれからも、そうした皆さんのより良い生活をサポートしていきたいと考えています。

大塚製薬のメンバーと一緒に

カラダ全体で健康を考えるトータルヘルスケアカンパニーの大塚製薬にとって、ビボセンス社との提携は大きな意味を持ちます。これまでの大塚製薬の栄養製品の開発・提供や、健康情報の発信といった活動を通して関心を高めていただいていたご自身の栄養状態を、Vivooによって科学的にモニタリングされることで、より健康的な生活を手に入れていただけると考えるからです。
さらに今後は、ビボセンス社が持つデジタル技術とデータを、熱中症対策やアスリートのコンディショニングづくりなどでも活用することが期待できるでしょう。

気づかないうちに、
水分不足かも?

水分摂取量、本当に足りていますか?
「しっかり水分補給しているつもり」でも、
実は足りていないかもしれません。
Vivooなら尿で手軽にテストすることで、
今のあなたの水分レベルを確認することができます。
身長、体重、運動習慣に基づいて、
あなたにあった水分必要量をご提案することもできます。
あなたのカラダの声を聞いてみませんか?