栄養・食生活
水分レベル:水分補給は健康維持の鍵
記事更新日:2026年7月21日
わたしたちのカラダの半分以上を占める水分は、健康を支える重要な役割を担っています。しかし、忙しさや季節の影響によって、気付かないうちに水分不足になってしまうことも少なくありません。
このコラムでは、管理栄養士の視点から、こまめな水分補給のコツや飲み方のポイントを解説します。毎日の水分補給を見直すきっかけとして、ぜひ参考にしてみてください。
index
水分の役割
一般的に、人間のカラダの55〜60%は水分でできているといわれています。体内の水分は、血液や筋肉、臓器など全身に存在し、健康を維持するために欠かせない成分です。
体内の水分には、食事からとった栄養素を運ぶ、体温を調節する、老廃物を排出するなどさまざまな役割があります。また、細胞の働きを支えるほか、脳や臓器を衝撃から守るクッションのような役割も担っています。

カラダの水分は、尿や便、汗、呼吸などを通して私たちが意識していなくても常に外へと失われています。体内の水分が不足すると、体調や健康状態にさまざまな影響を及ぼすとされており、こまめな水分補給を心がけることが大切です。
体内の水分量
体内の水分量は、年齢や性別、体重、体脂肪率などによって異なります。一般的に、新生児では体重の約80%、成人男性では約60%、成人女性では約55%、高齢者では50〜55%が水分とされています。このように、年齢を重ねるにつれて、体内の水分量は減少する傾向があります。

水分不足が招くリスク

水分が不足すると、口やのどの渇きを感じるほか、疲れやすさや集中力の低下などにつながることがあります。特に高齢者や子どもは、水分不足に注意したい年代とされています。
高齢者は、若い世代に比べて体内の水分量が少ないうえ、加齢によって暑さやのどの渇きを感じにくくなる傾向があります。一方、子どもはカラダが小さく、少しの水分減少でも影響を受けやすいといわれています。また、自分から水分をとるタイミングをうまく伝えられない場合もあるため、周囲の大人がこまめに声をかけて水分補給を促してあげましょう。
隠れ脱水とは?気付かないうちに進む水分不足
気温が高くない季節や、汗をあまりかかない生活でも気を付けたいのが「隠れ脱水」です。オフィス内や冬場などの乾燥環境、水分摂取を控えがちな高齢者にも見られやすい傾向があります。乾燥による無自覚の水分喪失、加齢による口渇機能の低下、トイレを避けるために水分摂取控える行動等が要因とされています。
冬場は空気の乾燥や暖房の影響で、皮膚や呼吸から水分が失われやすくなります。また、デスクワーク中心の生活では汗をかく機会が少ないため、のどの渇きを感じにくくなることもあります。こうした環境では水分補給量が不足しやすくなるため、季節を問わず、意識してこまめに水分をとるようにしましょう。
脱水チェック:自分の水分状態を確認するには
自分の水分状態を確認する方法をご紹介します。水分不足のサインがみられる場合は、早めの水分補給を心がけることが重要です。
脱水チェック①:のどの渇きがないか
のどの渇きは、水分不足のサインの一つです。少しでも渇きを感じたら、すぐに水分をとるのが望ましいとされています。
脱水チェック②:尿の量や色に変化はないか
体内の水分が不足すると、尿量が少なくなったり、トイレの回数が減ったり、尿の色が濃くなったりするなどの変化がみられることがあります。普段より尿の色が濃い、トイレの回数が少ないと感じた場合は、水分補給を意識してみましょう。
脱水チェック③:爪を押して色を確認
厚生労働省のHPでは、「隠れ脱水」のセルフチェック方法の一つとして、爪を押して色の戻りを確認する方法が紹介されています。
爪押しチェック法
- 手の親指の爪を反対の指で軽く押す
- 指を離したあと、白くなった爪の色が元に戻るまでの時間を確認する
指を離してから色が戻るのに3秒以上かかる場合は、体内の水分が不足している目安の一つになります。
「Vivoo」で水分レベルをセルフチェック

自分では水分状態の変化に気付きにくい場合もあります。そんな時に役立つのが、栄養モニタリングサービス「Vivoo」です。
「Vivoo」では、水分レベルを「少」「GOOD」「多」の3段階で確認できます。自分では気付きにくい水分状態の変化を把握しやすく、水分補給を見直すヒントになります。
1日に必要な水分摂取量
標準的な成人男性(体重70kg)が比較的安静に過ごした場合、1日に必要な水分量の目安は、約2.5Lとされています。この水分は、飲み物だけでなく、食事や体内で作られる水によっても補われています。
<1日に摂取する水分量の内訳>
- 食事(3食):1L
- 飲み物:1.2L
- 栄養素を代謝する時に体内で作られる水:0.3L
このように、必要な水分量のうち飲み物から補いたい量の目安は約1.2Lです。ただし、気温が高い日や運動時、活動量が多い日は、汗などによって失われる水分量が増えるため、普段より意識して水分をとることが大切です。
また、必要な水分を一度にまとめて飲むのではなく、こまめに補給することもポイントです。一度に大量の水分をとると、余分な水分が尿として排泄されやすくなります。コップ1杯程度の量を数回に分けて飲むようにしましょう。
水分補給におすすめの飲み物・避けたい飲み物
汗をあまりかかない日常生活での水分補給には、水やカフェインを含まないお茶などがおすすめです。コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェインを含む飲み物も水分補給にはなりますが、カフェインには利尿作用があるため、飲み過ぎに注意しましょう。
一方で、お酒に含まれるアルコールには強い利尿作用があり、水分補給の目的には適していません。お酒を飲む際は、チェイサーとして水も一緒に飲む習慣をつけましょう。
また、運動や屋外での作業で汗を多くかいた時は、水分だけでなく塩分も失われます。経口補水液や電解質を含むイオン飲料などを活用し、水分とあわせて少量の塩分も補給することが大切です。
季節・シーン別の水分補給ポイント

夏の暑い時季は、汗によって多くの水分が失われやすくなります。屋外での活動時だけでなく、室内で過ごしている場合でもこまめな水分補給を意識することが重要です。
一方、冬場は汗をかく機会が少ないため、水分補給の回数が減りやすい傾向があります。しかし、空気の乾燥や暖房の影響によって、皮膚や呼吸からは少しずつ水分が失われています。のどの渇きに関わらずこまめに水分をとるようにしましょう。
年間を通じておすすめの水分補給のタイミングは、起床時や就寝前、入浴の前後、飲酒中・飲酒後などです。また、運動や屋外での作業を行う場合は、開始前・途中・終了後など、タイミングを決めてこまめに水分を補給しましょう。
水分補給と肌への影響
体内の水分状態は、肌のコンディションに影響すると考えられています。アメリカで行われた研究では、普段の飲水量が少ない人が水分摂取量を増やしたところ、肌の水分量が増加したことが報告されました。
水分不足は便秘の一因になることがあり、腸内環境にも影響を与える可能性があります。近年では、腸内環境と肌の状態との関連についても研究が進んでいます。お腹の調子を整え、腸内環境を良好に保つためには、バランスのよい食事と適切な水分補給が必要です。
毎日のこまめな水分補給を意識し、体調管理や肌のコンディション維持に役立てましょう。
のどが乾く前に水分補給を
水分補給のコツは、「こまめに飲むこと」です。のどの渇きを感じた時には、すでにカラダの水分が不足し始めている可能性があるため、渇きを感じる前から意識して水分をとるようにしましょう。
こまめな水分補給を習慣化するには、飲む時間やタイミングを決めるのがおすすめです。例えば、「朝起きたらコップ1杯の水を飲む」「トイレのあとに一口飲む」など、自分なりのルールを決めてみましょう。また、目につく場所に飲み物を置く、スマホの通知機能やタイマーを活用する、目盛り付きのボトルを使うなどの工夫も、習慣化に役立ちます。
食事からの水分摂取

一般的に、食事からは1日に約1Lの水分を摂取していると考えられており、これは1日の水分摂取量の約4割ほどに相当します。そのため、忙しくて食事を抜いてしまった日や、食事量が少なくなってしまった日は、飲み物から意識して水分をとりましょう。
食事から水分を補給するポイントは、料理や食材の選び方にあります。例えば、おかゆや雑炊、煮物など水分が多い料理をとり入れると、無理なく水分を補えます。また、夏はトマトやきゅうりなどの夏野菜、冬は汁物や鍋料理など、季節に合った食材や料理を選ぶことも、水分補給につながります。さらに、水分を多く含む果物を間食にとり入れるのも効果的です。いちごやすいか、グレープフルーツ、オレンジ、日本梨などには、比較的多くの水分が含まれています。
まとめ
水分は、体温調節や栄養素の運搬など、生命維持に欠かせない役割を担っています。しかし、季節や生活環境によっては、気付かないうちに水分不足になることもあります。毎日の健康維持のためには、のどが乾く前からこまめに水分を補給することが大切です。自分の生活に合った方法で、無理なく水分補給を続けましょう。
教えてくれたのは:Eatreat管理栄養士 池野三奈美さん
病院で10年間、外来・入院患者の栄養管理や栄養指導、NST業務を担当。現在はフリーランス管理栄養士として、特定保健指導やWeb記事の執筆を中心に活動中。根拠に基づいた内容をわかりやすく伝える文章づくりが得意。病院や保健指導での経験を活かし、読者が「これならできそう」と感じる具体的な提案を盛り込むことを心がけている。

参考文献
- 厚生労働省:「「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」、厚生労働省(閲覧日:2026年5月28日)
- Jéquier, E., Constant, F. Water as an essential nutrient: the physiological basis of hydration. Eur J Clin Nutr 64, 115–123 (2010).
- 環境省:「熱中症環境保健マニュアル2022」、環境省(閲覧日:2026年5月28日)
- Popkin, Barry M et al. “Water, hydration, and health.” Nutrition reviews vol. 68,8 (2010): 439-58. doi:10.1111/j.1753-4887.2010.00304.x
- 大塚製薬株式会社:「冬のカラダは水分不足」、大塚製薬株式会社(閲覧日:2026年6月9日)
- 厚生労働省:「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」、厚生労働省(閲覧日:2026年5月28日)
- 環境省:「「健康のため水を飲もう」推進運動」、環境省(閲覧日:2026年5月28日)
- Palma, Lídia et al. “Dietary water affects human skin hydration and biomechanics.” Clinical, cosmetic and investigational dermatology vol. 8 413-21. 3 Aug. 2015, doi:10.2147/CCID.S86822
- Salem, Iman et al. “The Gut Microbiome as a Major Regulator of the Gut-Skin Axis.” Frontiers in microbiology vol. 9 1459. 10 Jul. 2018, doi:10.3389/fmicb.2018.01459
- 文部科学省:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」、文部科学省(閲覧日:2026年5月28日)
他の記事を読む
Other Column
日々の
栄養管理の
「たぶん」を
「たしか」に。
あなたのカラダの声を聞き、
必要な栄養を知ることが、
あなたの食習慣の改善へつながります。
早速、Vivooを始めましょう。