腫れ、こわばり、しびれ、痛み…。手指の「気になる症状」のケア。

女性ホルモンのチカラで健康に

加齢のせい? 使いすぎ?いいえ、それは、ゆらぎ世代特有の症状かもしれません。

手指が腫れたり、こわばりやしびれ、痛みを自覚したり、また周囲の人から悩みを聞いたりしたことはありませんか?

最近の研究成果で、それらは加齢や過度の使用が原因ではなく、ホットフラッシュやめまいなどと同様に更年期の症状であることがわかってきています。

トラブルの原因は? 対策は? すこやかな毎日を過ごすために気をつけたいことを紹介しましょう。

その症状、女性ホルモン・エストロゲンの減少に由来するのかも。

朝、起きたときなどに、手が腫れたりこわばっていたことはありませんか。人によっては手の関節が痛んだり、しびれたりすることもあるようです。

これまで、それらのトラブルの原因は加齢や手指の使いすぎと考えられてきました。しかし、 使いすぎが原因にしては、利き手とは反対の手に症状が出ることも。

最新の研究が解明した、手指症状の原因

調査の結果、手指にトラブルが出やすいのは40-50代のゆらぎ世代の女性であることが判明しました。そして、最新の基礎研究の結果、ゆらぎ世代では、女性ホルモン・ エストロゲンの分泌が減るとともに、関節がなめらかに動きにくくなることが解明されたのです。

下のグラフのように女性ホルモン・エストロゲンが減少する時期と、手指のトラブルが出る時期が一致していることからも、手指の症状とエストロゲンの関連が読み取れます。

女性ホルモン・エストロゲンは女性の健康とキレイの源

女性ホルモン・エストロゲンは肌や粘膜の潤いを保ったり、骨や関節に作用して、女性のカラダをすこやかに保ち、キレイを守る働きをします。10歳代の思春期から分泌量が体内で増え始め、20-30歳代でピークを迎えます。

ところが、40-50歳代になり、閉経の前後の各5年間、計10年間の更年期と呼ばれる時期を迎えると、分泌が急激に減少します。

エストロゲンと手指のトラブルの関係

エストロゲンは指の腱や関節を包む「滑膜(かつまく)」という組織にあるエストロゲン受容体に働きかけて、骨や腱をなめらかに動かします。

ところが分泌量が減少すると作用しにくくなるため、 関節や骨がスムーズに動きにくくなり、腫れやしびれ、痛みなどの炎症を引きおこすのです。

早めに適切なケアをして、しなやかな毎日を

これまで更年期症状といえば、カラダののぼせ、ほてりや発汗(ホットフラッシュ)、頭痛、めまい、気分の落ち込みやイライラ感などがあげられていましたが、手指の症状もゆらぎ世代特有の症状ということが解明されてきたのです。

これらのトラブルは日々の生活の質を下げるだけではありません。そのままにしておくと症状が重くなったり、後になって手指が変形することもあるので、気になる症状が出たら早めにケアすることが大切です。

日々の食生活に気をつけてビタミンやカルシウムを意識して摂ったり、簡単なマッサージを習慣にするとよいでしょう。また、女性ホルモン・ エストロゲンを維持して、ホルモンバランスを整えることも大切です。

  • ※手指の症状にはリウマチなど別の原因の疾患も多くあります。症状が気になったら、まずはかかりつけ医に相談することが大切です。
  • ※更年期の症状はエストロゲンの減少だけでなくストレスや性格などの複雑な要因が影響を与えるため個人差があります。

日々のケアで症状を軽く。暮らしの中でできることをご紹介します。

骨と関節を強くする 食生活のヒント

タンパク質とビタミンK

タンパク質は骨の枠組みを作る大事な栄養素です。ビタミンKはタンパク質をサポートして骨を丈夫にします。タンパク質は肉や納豆に。ビタミンKはワカメや春菊に多く含まれています。

カルシウムやマグネシウムが大切

骨の主成分・カルシウムを摂りましょう。乳製品に多く含まれていますが、小松菜などの野菜にも含まれています。また、カルシウムを定着させるマグネシウムも必要です。豆腐などの大豆食品、干しエビやしらす、海藻類はカルシウムとマグネシウムが両方含まれています。

手のこわばりに効く 簡単ケア

手の温浴

気になる症状には温浴を。洗面器などに約40℃のお湯を入れ、10分程度手を浸します。血流がよくなり手指がしなやかに。アロマオイルを数滴たらせばリラクゼーション効果も期待できます。

骨関節マッサージ

手の関節の間にある4つの骨関節(イラスト参照)を、反対側の手の親指と人さし指ではさみ、気持ちがいいと感じる程度の強さでもみほぐすと症状が緩和されます。

指を動かす筋を押す

腕には指を動かす「手根伸筋(イラストのピンク色部分)」があります。座った姿勢で机の上や自分のお腹に腕を置き、手のひらを使い粘土をつぶすような感じで約10秒強く押し、そのままこの筋肉をほぐすように手首に向かって押し流す動作を3回繰り返すとスッキリ!

ホルモンバランスを整える

手指のトラブルが女性ホルモン・エストロゲンの減少によるものなら、暮らしの中でなるべくエストロゲンを保持できるように心がけたいものです。

エストロゲンに似た働きをする大豆イソフラボンにはホルモンバランスを整える働きがあります。しかしながら、女性ホルモンに似た働きをするのは大豆イソフラボンそのものではなく、大豆イソフラボンに含まれるダイゼインという成分が、腸内細菌によって代謝されて生まれるエクオールという成分であることがわかっています。

実際にエクオールの摂取で手指のしびれや痛みが落ち着いたという報告もあります。しかし、エクオールをつくれる腸内細菌を持っているのは日本人の半数程度。そのため、エクオールを含むサプリメントを利用して、直接、摂取するのもおすすめです。

エクオール摂取で、手指のしびれや痛みが落ち着いた

エクオールは手指の症状を緩和するだけでなく、骨密度の低下の抑制や、シワの改善など、エイジングに働きかけることで、ゆらぎ世代の女性の体調を整え、いきいきとキレイな毎日を支えます。

痛み・しびれ・変形などの手指のトラブル、
しっかりケアしていきましょう!

女性ホルモンのチカラでゆらぎ期も健やかに