食品ごとにGI値が設けられており、GI値が低い食品は血糖値の上昇を穏やかにします。そのため、低GI食品は健康診断で食生活の改善を指摘された方を応援します。その理由を見ていきましょう。
食事を摂ると食べ物の中の糖分がブドウ糖として血液中に取り込まれ、ブドウ糖が増えることで、すい臓からインスリンが分泌されます。ブドウ糖は肝臓や筋肉、脂肪組織などの細胞に取り込まれるため、血糖値は食事前の値まで下がります。
これが正常の働きです。
そのために必要なのが、食事の選択となります。摂取する食品によって血糖値の上昇率が異なるので、低GI食品が血糖値の上昇を穏やかにする目安となります。例えば大豆食品などはGI値が低い傾向にありますので、気になる方はなるべく摂るようにしましょう。
一般的に、一番血糖値が上がりやすいのはごはんやパン、めん類の炭水化物と言われております。炭水化物の摂取をあえて減らす方が居ますが、血糖値を上げたくないからではないでしょうか。しかし、炭水化物を食べないと栄養バランスが悪くなり、さらには食事の満足感も得にくくなるため、かえってたんぱく質や脂質を過剰に摂取してしまうことも。やっぱり食事には栄養バランスが重要なんです。
おだやかに糖を取り込む低GIの食品を知ることは、健康的な生活に重要なことです。
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大豆食品
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そば
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さつまいも
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きのこ類
GIは1981年、トロント大学のジェンキンス博士らが発表した概念です。食べ物の血糖値の上がりやすさを指標としたもので、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示します。
現在では1300種以上の食品にGI値が発表されており、WHO、カナダの栄養士会、国際糖尿病学会でもGIの利用を薦めています。
高GI食品を食べると糖質の吸収が急激になり、身体に負担がかかります。反対に低GI食品は糖質の吸収が穏やかになり、結果としてインスリンの過剰分泌を穏やかにします。インスリンの過剰な分泌は肥満やその他の不調につながります。
GI値の目安として、一般的にGI値が70以上を高GI食品、56〜69が中GI食品、55以下が低GI食品として分類することができます。
おやつは計画性を持ってであれば、多くのメリットも受けられます。
そこで、登場するのが低GI食品のおやつ。
低GI食品は血糖値の上昇を穏やかにするほか、腹持ちも良いのでおやつに適しています。低GI食品のおやつを上手に摂って、夕食を軽めにすると血糖値の上昇を穏やかにするメリットもあります。おやつも摂り方次第では、健康的な食生活にプラスになるのです。
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ヨーグルト
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バナナ
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いもようかん
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りんご
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大豆焼き菓子
下のグラフは、同じ量の糖質を含む大豆焼き菓子とブドウ糖をそれぞれ食べた後、血糖値の上昇速度の違いを比較したものです。
ブドウ糖は血糖値がすみやかに上昇したのに比べ、大豆焼き菓子は食べる前とほぼ変わらないゆるやかなカーブを保ち、それほど変動がありませんでした。同じ炭水化物でも、食品によって血糖値の上昇度合いに対して差がでることが分かります。
平均±標準誤差(n=8) *p<0.05(vs 大豆焼き菓子) p<0.05(vs 0分)
岩下聡、桜井政夫、陶山徹、早瀬秀樹、満園良一、山下大介、濱田広一郎.
大豆配合焼き菓子の血糖応答とそのセカンドミール効果に関する検討
薬理と治療5(36)別冊,ライフサイエンス出版;2008
大豆にはたんぱく質、脂質をはじめビタミン、ミネラル、食物繊維など健康を維持する成分がギッシリ。
昔から畑の肉と言われるほど栄養価の高い食品です。
低GI食品のなかでも大豆の優れた働きは世界中で注目され、健やかな毎日の大きなヒントとなっています。
つまり午後のおやつに低GI食品を選択すれば、夕食での血糖値の上昇もコントロールできるということです。
最近の研究により、繊維の多いマメ科植物を含む食事のセカンドミール効果は、次のことが分かっています。
繊維の多いマメ科植物(大豆など)を含む食事は、炭水化物の消化・吸収を遅らせ、食後の血糖の上昇を抑えることができること。さらにマメ科植物(大豆など)を含む食事は、次の食事による血糖コントロールを改善することが確認されています。
試験データでも、セカンドミール効果は実証済み。第1食を大豆焼き菓子、米菓子、何も食べない(水のみ)の3グループに分け、第2食を3時間後に共通の市販栄養食品を食べて血糖値の上昇具合を検証してみると、大豆焼き菓子を食べたグループは、せんべいを食べたグループに比べ、食後240〜300分の血糖値がはるかに低いという結果が確認されました。
また何も食べなかったグループと比べても、大豆焼き菓子グループのほうが低かったことも分かったのです。これは、大豆焼き菓子を第1食目に食べたことで、糖の吸収が穏やかになったもしくは血中からの糖の代謝が促進されたことを意味しています。
次の食事(共通食)の後の血糖値も低減させる
岩下聡、桜井政夫、陶山徹、早瀬秀樹、満園良一、山下大介、濱田広一郎
大豆配合焼き菓子の血糖応答とそのセカンドミール効果に関する検討
薬理と治療5(36)別冊,ライフサイエンス出版;2008
血糖値が気になる方は、低GI食品を食事やおやつの選択肢に加えると考えるとよいかもしれません。低GI食品は血糖値の上昇を穏やかにして、インスリンの分泌も穏やかにします。
セカンドミール効果も考えて、朝食や間食などで低GI食品を取り入れていくのも大切です。忙しいときは、大豆焼き菓子などで手軽に摂取することもオススメです。