筋トレをしたことがある方であれば、プロスポーツ選手などの均整のとれた筋肉に、一度は憧れたことがあるのではないでしょうか?
スポーツをしている人だけではなく、ダイエットなどの目的で筋トレをはじめる人も多くいらっしゃるでしょう。
効率よく筋肉を鍛えるための5つのポイントをご紹介します。

テレビや雑誌・ネットでも、様々な筋トレ情報が飛び交っています。
道具を使うものから、自分の体重を利用したトレーニングなど、色々な筋トレ方法を目にすることがあるかと思います。
しかし、筋肉のメカニズムについては、実はあまり知られていないのではないでしょうか?
筋肉とはどのようにしてできるのか?
この「筋肉の基礎知識」を身に着けて筋トレをおこなうことで、今よりもっと効率よく筋肉を鍛えることができるようになります。


筋肉とは、筋繊維と呼ばれる繊維状の細胞が束ねられて構成されているものです。
一般的に、みなさんが筋肉と呼んでいるものは、骨とつながっている骨格筋のことを指します。
心臓や他の臓器にも筋肉はありますが、意識的に動かすことができて、鍛えることで肥大する筋肉が骨格筋です。
次に、筋肉のつく仕組みについて解説しましょう。
「重いものを持つ」「トレーニングをする」など、負荷がかかると筋肉は頑丈になろうとします。
筋肉が頑丈になるというのは、筋繊維の本数が増えた結果ではありません。筋繊維の中にある、筋肉を動かすための部品(アクチンやミオシン)が増えて、筋肉が太くなるのです。
これが「筋肉がつく」仕組みです。
では、筋肉をつけたり、筋力を高めたりするためには何をすればよいでしょう?
まずは、「筋肉内で頑丈になろうとする働きが起こるような強度」のトレーニングが必須です。
そして同じく必須になるのが、筋肉の材料となるタンパク質の摂取です。
トレーニングをしても、筋肉の材料となるタンパク質が足りなければ、筋力は強化されません。


筋力トレーニングさえしっかりすれば筋肉がつくというわけではなく、もうひとつ必要なことがあります。
それは、筋肉の材料となるタンパク質をとることです。
トレーニングをすると、筋肉は傷ついた部分を修復しながら、より頑丈になろうと強化されていきます。
その時に、筋肉の修復材料となるのがタンパク質なのです。
では、どのような食品からタンパク質を摂取したらよいのでしょうか。
食品のタンパク質は、アミノ酸でできています。その中でも、食事からしかとることのできない必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品を、良質タンパク質食品といいます。
食品に含まれる必須アミノ酸のバランスのよさは、アミノ酸スコアというものであらわされます。この数値が100に近いほど良質なタンパク質食品ということになります。
肉や魚、卵、大豆などは、アミノ酸スコア100の食品ですので、とてもおすすめです。
一方で、筋肉をトレーニングするためには、筋肉の材料だけでなく、動力となる糖質も
必要です。
運動をすると、まず筋肉に蓄えられている糖質の一種であるグリコーゲンが使われ、次に血液中を流れているブドウ糖などが使われます。
グリコーゲンがしっかりある状態を「スタミナがある」といいます。
そのため、マラソンなど長時間筋肉を動かす運動をする人は、タンパク質で筋肉を強化すると同時に、糖質をとることも大切なのです。


「年齢を重ねるにつれ、筋肉が減ってきた…」と感じる人は多いと思います。
では、筋肉は加齢で減っていくのでしょうか?
加齢による顕著な変化として、若いころよりもトレーニングの効果の出方が遅くなることがあげられます。
これは、新陳代謝が遅くなることに加え、日常生活でからだを動かす機会が減ることが原因のようです。ただ、効果を感じられるまでに時間がかかるだけであって、トレーニングをしていれば筋肉は何歳になってもつけることができます。
逆に、若い人であっても運動不足が続くと筋肉はどんどん衰えていきます。筋肉については「若さ」を過信してはいけないのです。
また、男性と女性でも、筋肉のつき方は違います。
これは、男性ホルモンが筋繊維を太くする働きをもっているからです。
そのため、女性が筋トレを行った場合には、男性のように筋肉ムキムキになるのではなく、適度に引き締まったからだになるのです。
Q. 朝食抜きの生活を続けると、筋肉は減る or 減らない?
A. 減る
朝食を抜くと、体内で糖質が不足します。
糖質は脳のエネルギー源なので、脳にエネルギーを送るために
筋肉を壊し、タンパク質から糖質をつくる働きが起こります。
そのため、朝食抜きの生活を続けると、筋肉が減ってしまう
ことがあります。特にダイエットを意識している方は、朝ごはんを抜いてしまいがちです。
筋トレの効果を十分に発揮するためにも、朝はしっかり食べるように心がけましょう。

筋肉には2種類あります。
・体を動かしたり歩いたりという、普段の生活で多く活躍する「遅筋」
・重たいものを持つ時や転びそうな時、手足でバランスを整える際に活躍する「速筋」
この2つでは、それぞれ鍛え方も変わってきます。

まず、有酸素運動で鍛えられる「遅筋」の鍛え方についてご紹介します。ウォーキングやジョギングなどを一定時間(20分以上目安)行いましょう。「遅筋」を鍛えるには、同じ強度の運動をしばらく続けることが大切なのです。
次に、無酸素運動で鍛えられる「速筋」について、解説します。
「速筋」はウエイトトレーニングなどで鍛えることができます。
速筋を鍛えるには、強度を上げて負荷をかけることが大切です。
また、落ちてしまった筋力を回復させるのが目的であれば、きついと感じる程度の負荷をかけないと、筋力をとりもどすことができません。
筋力回復には、「回数ではなく負荷」ということを覚えておきましょう。
そして、もうひとつのポイントは筋肉を休ませることです。
疲労した筋肉を十分に休ませることで、筋繊維は回復し、さらに強くなるのです。
休みなく筋トレを続けると筋肉の疲労回復が追い付かないため、筋肉がつかないのです。
また、筋肉を強化するためには、トレーニング後すみやかに、「グリコーゲンの材料となる糖質」と「筋繊維の材料となるタンパク質」を補給することも重要です。
トレーニング後、30分以内に食事がとれない場合には、牛乳や豆乳などで補給するのがおすすめです。



・バナナ…1本
・豆乳…200cc
・はちみつ…お好みで

バナナと豆乳(お好みでハチミツ)をミキサーにかければ、できあがり!
糖質とタンパク質を一度に補給することが
できます。


「最近なんだか転びやすい気がする」
「肩こり・腰痛がする」
そんな時は、筋肉量が減ってしまっている可能性があります。
筋肉量が減ることの弊害は、単に筋力が衰える、ということだけではないのです。
筋肉にはたくさんの神経細胞があり、筋肉量の減少は神経細胞にも影響します。
筋肉量が減ると、脳から送られる信号を受ける量も少なくなり、その結果、脳自体の神経細胞の働きも衰えてしまうのです。
これが、物忘れに代表されるような老化現象を招くのです。
高齢になって転倒する人が増えるのは、筋力が衰えるからだけではありません。
それに伴う神経細胞の働きの低下も加わるからなのです。
若いから大丈夫、と安心してはいけません。
筋肉量と神経細胞が密接な関係であるということは、若い人でも、筋肉が減ると頭の働きが低下すると考えられます。
裏を返すと、筋肉を鍛えることはカッコいいからだを作るだけでなく、仕事や勉強の能率のアップも期待できる事もなるのです。
筋肉の秘密を知ったところで、筋肉を鍛えることに興味が湧いてきたでしょうか?
筋トレは1回10分でもOKなので、それほど時間はかかりません。
生活の中にちょっとずつ取り入れて、健康でイキイキとしたからだとこころを
保っていきましょう。
監修者:管理栄養士/健康運動指導士/食コンディショニングトレーナー 小島美和子