あなたは食事をするときに食物繊維を意識していますか?
食物繊維にはさまざまな働きがあることがわかっています。
例えば「食後の血糖値上昇抑制作用」や
「食後の血中中性脂肪上昇抑制作用」等です。
食物繊維を摂ることは、健康な毎日のサポートに繋がります。
【監修者】管理栄養士、健康運動指導士、食コンディショニングプロデューサー
小島 美和子(おしま みわこ)
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、女性18g以上、男性21g以上(ともに18〜64歳の場合)を食物繊維の1日の摂取目標量として定めています。
普段の食事で、食物繊維は足りているのでしょうか? チェックをしてみましょう。
- 野菜料理は1日に5皿以上食べる。
- キノコ類や海藻、芋のいずれかの料理を1日1回は食べる。
- 豆や大豆(納豆やおから含む)の料理を1日1回は食べる。
- くだものを毎日食べる。
- ごはんには玄米や麦、雑穀を加えて食べる。
上記の全ての項目にあてはまれば、食物繊維は目標量とれているはずです。あてはまるものが3個以下の人は、不足している可能性が高いといえます。
日本人の成人全体でみると、1日の摂取目標量に
対して、7割程度しか食物繊維をとれていないと
いわれています。
欧米風の食事を摂る機会の多い20〜40代の世代では、特に不足しているのが現状です。
日々の体調維持のためだけでなく、ずっと健康でいるために、毎日の食生活で食物繊維の摂取量を増やすことはとても重要です。
今足りていない方は、上のチェックポイントでできることを一つずつ、生活に取り入れていきましょう。
また少しの工夫で食物繊維を簡単に増やす方法をご紹介しますので、ぜひお試しください。
食物繊維の摂取方法をご紹介する前に、まず血糖値との関わりについて知っておきたいポイントがあります。
ごはんや麺、パンなどの穀類には糖質が多く含まれ、食べることで血液中のブドウ糖の量が増えます。これが、血糖値の上昇です。血糖値が急激に上がると、体脂肪が合成されやすくなります。そのため、血糖値が高めの人や太りやすい人は、血糖値を急激に上げない食べ方をすることが大切です。
この血糖値の上昇を緩やかにするために、食物繊維が大きな役割を果たしています。
穀類は血糖値を上げやすい食べ物ですが、食物繊維を一緒に摂ると、急激な上昇が抑えられることがわかっています。
ごはんに昆布や豆を混ぜ込んだり、パスタの具にキノコ類や野菜をたっぷり入れるなど、穀類には食物繊維の多い食材を組み合わせると良いでしょう。
また、穀類自体を食物繊維の多いものに変えるというのも、簡単に食物繊維を増やす方法です。
玄米や胚芽米など、精製度の低い穀類や麦(押し麦やライ麦)などは、食物繊維が多めです。
パスタやパンも全粒粉から作ったものを使えば、食物繊維を摂ることができます。
【材料】
・押し麦…大さじ3
・卵豆腐…1個
・水…300cc
・めんつゆ…50cc
・鮭フレーク…お好みの量
1.鍋に湯を沸かし、押し麦を入れ、弱火で15分ゆでたら、さっと水洗いする。
2.卵豆腐をさいの目に切る。
3.水とめんつゆを合わせたものを沸騰させる。
4.3に、押し麦・玉子豆腐・鮭フレークを加えてさっと煮て出来上がり。
朝食や夜食におすすめです。
コレステロールという言葉は馴染みのあるものだと思います。コレステロールとは、肉や卵、魚卵や、レバーなどの内臓類に多く含まれる脂質の種類のひとつです。
食物繊維は、コレステロールから作られる胆汁酸を体外へ排出するのを促進します。
胆汁酸は、体内コレステロール代謝の最終産物と言われており、油っぽい食事をしたときなどに水と油の仲立ちをして、油を体内に吸収しやすくします。
食物繊維が豊富にあると、消化器官内にある胆汁酸を絡め取り便として排出させます。そのため、コレステロールを多く含む食品を食べるときには、食物繊維と一緒に食べるのが鉄則です。
例えば…
・卵焼きには、焼きのりを一緒に巻く。
・焼き肉は、エリンギやまいたけなどの
キノコ類と一緒に食べる。
・レバーはこんにゃくと一緒に煮る。
などがおすすめです。
肉類などを食べる時などは、食物繊維の多いおかずをプラスしましょう。
例えば、さつま芋や里芋などの芋料理を添えたり、根菜や豆などの惣菜を利用したりするのも良い方法です。また、もずくやめかぶなどの、海藻の個食パックもおすすめです。手軽に1品増やすことができます。
ちょっとした意識で食物繊維は摂れます。
できそうなことから、ぜひ試してみてください。
食物繊維は乳酸菌を含む食品と組み合わせて摂るのがおすすめです。
乳酸菌の多い食品の代表はヨーグルトです。
かぼちゃやブロッコリーなどの野菜ポタージュには、
牛乳だけでなくプレーンヨーグルトを。
野菜のピクルスや浅漬けにヨーグルトを足すのも良いでしょう。
サラダを食べる時に、マヨネーズとヨーグルトを半々の割合にまぜ合わせたものをかけるのもおすすめです。これで、乳酸菌+食物繊維をしっかり摂ることができます。
くだものは全般的に食物繊維が多いため、くだものやドライフルーツと
一緒にヨーグルトを食べると、手軽に両方を摂ることができます。
また、乳酸菌は、キムチやぬか漬けなどの漬物にも
含まれています。食生活の中で気づいたときに、
上手に取り入れてみてくださいね。
食物繊維の多い食事には、様々な健康上のメリットがあります。
- 食物繊維がお腹の中で水分を吸って膨らむので、満腹感を得やすくなる。
- よく噛んで食べる食品が多いので、食事のペースが落ちて食べ過ぎ防止につながる。
- よく噛んでゆっくり食べることで、血糖値の上昇をおだやかにし、
体脂肪の合成につながりにくくなる。 - 腸内の善玉菌の餌となり、お腹の調子を整える。
毎日の食生活に、食物繊維の多い食材を食卓にたっぷり取り入れましょう。例えば、こんぶ・ひじき・わかめ・もずくなどの海藻や、しいたけ・えのき・エリンギなどのキノコ類、そしてこんにゃくなどです。
これらを、ごはんや麺料理などに加えると良いでしょう。
食物繊維の多い食材は、低カロリーのものが多いですが、芋やくだものは比較的高カロリーなので、朝食や昼食で食べるのがおすすめです。
また、食物繊維の豊富な食材を肉料理や魚料理などのメイン料理の付け合わせにしたり、肉や魚のボリュームを控えてその分キノコや野菜をプラスして一緒に煮る・焼くなどすることでボリュームアップさせたりすると、カロリーを抑えつつ満足感のある一皿になります。
毎日の健康の手助けをしてくれる食物繊維。
ぜひ毎日の食事に取り入れてみてください。
監修者:管理栄養士/健康運動指導士/食コンディショニングトレーナー
小島美和子