
世界有数の長寿国である日本、その食事の中心にあるのが「ごはん」です。
古くから日本人の健康を支えるごはんには、
どのようなパワーが秘められているのでしょうか?
「ごはん食」の良さを見直してみましょう。
【監修者】管理栄養士、健康運動指導士、食コンディショニングプロデューサー
小島 美和子(おしま みわこ)

無洗米や炊飯器のタイマーを利用すれば、ごはんもとっても簡単です。一人暮らしなら、まとめて炊いて一食分ずつ冷凍保存しておけば、いつでも好きな時に電子レンジで加熱するだけで、手軽に食べることができます。
「ダイエットしてるからごはんを控えている」「夜はおかずだけ食べる」 そんな方に特に知っていただきたい、ごはんの隠れたパワーをご紹介します。

まずは、体重が気になるなら、パン食よりごはん食がおすすめです。
特に朝食をごはん食にすると、からだに差が出てきます。
ごはんに卵焼き・野菜の味噌汁、といったごはん食メニューに比べ、「菓子パンだけ」あるいは「パンにバター、ベーコンエッグ・ヨーグルト」といったパン食メニューは、どうしても高脂質になりがちです。
朝食で脂質を多くとると代謝が上がりにくく、消費カロリーの低いからだで1日を過ごすことになります。
更に、ごはん食はパン食に比べて食後の体温を上昇させる事が期待され、からだが冷えやすい人にもおすすめです。

和食献立の特徴は、中心となる主食のごはんに味をつけないことです。いろいろな食材や調理法のおかずと相性がよく、結果栄養バランスのよい食事につながるのです。

ある調査では、「ごはんの摂取量が多い人ほど、魚介類の摂取量も多い」という結果が出ています。
魚の脂には、コレステロール値を下げて血液が固まるのを抑制するEPAやDHAが豊富に含まれています。
現代の日本では血液中のコレステロール値が高い人が多くなっていますが、これは肉と比べて魚の摂取量が減少していることも原因のひとつと考えられています。
また、和食に欠かせない納豆、豆腐、味噌といった大豆加工食品も、古くから日本人の健康を支えてきました。
ごはんを中心に献立を考えると、魚や大豆製品をおかずにできます。「健康な毎日をおくりたい!」と考える方は、ぜひごはん中心の和食献立を意識してみてはいかがでしょう。

血糖値を気にして「糖質」に注意するあまり、ごはんを減らしてはいないでしょうか?

血糖値が気になる方や健診で血糖値が高めだと指摘されている方は、パン食より適量の麦や玄米を混ぜて食べる、ごはん食をおすすめします。
精白米に比べ、食物繊維を多く含むため消化吸収に時間がかかり、食後の血糖値が上がりにくいのです。
特に夕食が遅く、空腹に任せて一気に食事をするような食生活を送っている方は、血糖値の急上昇を引き起こしやすいため、注意が必要です。
夕方に軽い間食をしたり、ごはんに玄米・麦・雑穀を加えるなどの工夫に加え、食物繊維の多いおかずを意識して食べるようにしましょう。
ごはんを抜くのもNGです。エネルギー不足につながり、からだがエネルギーを消費しにくい状態になるので、太りやすくなってしまいます。


●材料
・お米(冷ごはんをあたためたものでもOK)
・しめじ、しいたけなどのきのこ類
・塩
・酒
・醤油
・ゆず果汁
1. 通常の水加減でお米を炊きます。
2. しめじは石突きを取って小房に分け、生しいたけは5mm幅の薄切りにします。
3.塩少々、酒をふり、フライパンで2をから炒りにします。
4. 3にしょうゆとゆず果汁をふります。
5.炊き上がったごはんと混ぜて、できあがりです。
フライパン1つでできるので、残業で夜遅く帰宅した後の夕食にもおすすめです。

ごはんは運動のエネルギー源としてもすぐれた食品です。
運動する時、体内になくてはならないのが糖質です。これは、ごはんの主成分です。
甘い飲料や菓子などの原料となる砂糖も糖質食品ですが、ごはんと砂糖では糖質の種類が大きく異なります。ここが大事なポイントです。
砂糖の糖質は吸収の速いブドウ糖が多いので、一気に血糖値を上げ素早くエネルギー源になります。反面、すぐに血糖値が下がるため、持久力の向上にはあまり役立ちません。
一方、ごはんの糖質はブドウ糖がたくさん鎖状につながった「でんぷん」。消化酵素で鎖を切るように糖をバラバラにしながら、血液に供給されます。 長い時間かけてエネルギーを供給できるので、持久力が保たれるのです。
よって、運動の前の食事ではごはんをしっかり食べておくのがおすすめです。
前の食事から5〜6時間以上たってから運動をするなら、運動開始の1時間ほど前におにぎりなどを食べておくと、スタミナが持続しやすくなります。

日本では生活の欧米化によってごはんの消費量が年々減少している反面、健康的でバランスの
よい和食の概念は世界が注目しています。
また過度なダイエット志向から糖質の摂取に抵抗を感じる方も少なくありませんが、麦や雑穀類を加えるなどの工夫をすれば、ごはん食が糖質の吸収をコントロールし適正な体重維持にも役立つことが確認されています。
ひとり暮らしでごはんを炊くのが面倒だったり、
麦ごはんは美味しくないと思われている方には、
手軽なレトルト食品等の利用もおすすめです。
しっかり噛んでバランスよく食べることは、健康であり続けるための大切な要素です。世界一の長寿国日本の健康を支えてきたごはん食の良さを、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
監修者:管理栄養士/健康運動指導士/食コンディショニングトレーナー
小島美和子